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「いじめ防止条例」の制定に対する反対討論

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大津市子どものいじめの防止に関する条例の制定に対する反対討論

塚本正弘
2013/02/19

 私は日本共産党大津市会議員団を代表して、会議案第1号 大津市子どものいじめの防止に関する条例の制定について、に対する反対討論を行います。

 一昨年10月に発生した市内中学生の自殺事件は、大津市のみならず全国に「いじめ問題」の深刻な現状を社会問題として浮き彫りにしました。13歳の大切な命が失われたことを真摯に受け止め、二度と同じような事件が起こることがないように、大津市全体でいじめの防止に取り組むという方向性や思いはみなさんと同じくするものです。
 しかし条例(案)の中間とりまとめの時点で各会派のみなさんに呼びかけたところですが、あらためて本条例には次のような問題点があると考えるものです。

 まず第1に、いじめのない学校づくりやいじめを解決するために何が必要かということは、今回の事件の教訓を活かして検討されるべきだということです。
 先般、第三者調査委員会の調査やそれを踏まえた提言が報告されたところですが、今後教育委員会に設置されたいじめ対策検討委員会も結論を出される予定です。これらも含めてさまざまなところで議論し生かしていくことが望まれます。今の段階で条例で結論づけてしまうべきではありません。パブリックコメントで寄せられた意見も、拙速な条例化に反対する意見が多数であったことにも留意すべきと考えます。

 第2に、何よりも当事者でもある子どもや教職員、保護者の思いや意見を反映させることに時間をかけ、努力すべきであるということです。
 「私たち抜きに私たちのことを決めないで」というのは障害者自立支援法に対する障がい者自身の声でしたが、本条例制定についても同じことが言えると思います。子どもや関係者の意見が十分反映されてこそ条例が活きて力を持つことができると思いますし、いじめをなくす社会をつくる上で市民全体が深く考え、話し合うことが市全体の財産にもなると思うものです。

 第3に、重大な事件が発生したということもありますが、学校に教育内容を義務づけるなど対症療法的な内容になっており、学校現場での自主的・創造的な取り組みを阻害するおそれがあることです。
 いじめ問題の解決は、いじめをしている子どもが、教師や子ども集団の働きかけの中でいじめられている子どもの痛みをわかり、本当に悪かったと反省できる人格的な成長を通して、初めて解決したと言えるものです。また、何らかのストレスやいらいらをいじめという形でぶつけているのであれば、その原因を取り除く取り組みも必要です。
 いじめの予防も、深刻な事態に至る前に発見したり、解決する力も学校現場にあるわけですから、それを促進するためには、いじめを克服したさまざまな取り組みの経験を学校間、教育委員会間の交流を通して学び合い、教育現場に活かしていくことが必要です。それができるような教師のゆとりを保障し、力量を向上させる研修や条件整備こそ重要です。
 なお、市長による是正の要請などが学校教育への介入になるのではないかという懸念がされていますが、この点でも、教育基本法に定める「不当な支配」におよばないよう明確な規定をする必要があると考えるものです。

 第4に、保護者の責務や子どもの役割などの規定に関わってですが、「子どもを愛情をもって育むものとする」など内心に関わることを規定することは、そもそも条例になじむものではありません。
 自らの生い立ちや家庭環境など様々な事情から、子どもに愛情が注げないと悩んでいる親もいます。そのような親の悩みに寄り添って支援してこそ、いじめの原因となる家庭的な要因を取り除き、解決する見通しが開けるもので、条例で義務づけて解決するものではありません。
 また、子どもに対していじめの相談や通報などを「できる」と表現したものの、全体を(子どもの役割)としたことは、「できるのにしなかった」とやはり子どもを追い詰めることにつながるもので、このような規定はすべきではありません。

 第5に、本来子どもには、憲法と子どもの権利条約の理念にたって、安心して生きる権利、守られる権利、ありのままの自分でいる権利など大切な権利があります。子どもの権利を保障するということを理念の中心に据えて、社会全体や市、教育委員会、学校などで学び合い、それを保障するための取り組みや体制を検討すべきであります。

 最後にあらためて、2010年に国連子どもの権利委員会が日本政府に対して行った勧告の中で、次のように述べていることを紹介しておきたいと思います。
 「高度に競争主義的な学校環境が、いじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退及び自殺に寄与している」とし、「過度に競争主義的な環境による否定的な結果を避けることを目的として学校制度および学力にかんする仕組みを再検討すること」を求めています。
 また、福祉・学校教育の現場や政策決定過程で子どもの意見が考慮されておらず、「子どもを、権利を持った人間として尊重しない伝統的な見方が、子どもの意見に対する考慮を著しく制約している」ときびしく指摘し、子どもが意見を十分に表明する権利を促進するための措置を強化するよう求めているところです。
 これらの指摘をしっかりと踏まえた再検討を求め、本条例案に反対する討論とします。

以上 


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