全国学力テストへの不参加を求める要望
日本共産党大津市会議員団
2021/5/19
全国学力・学習状況調査への不参加を求める要望書
コロナ禍における感染症対策に鋭意取り組み、平素より教育行政全般にわたりご尽力いただいていることに敬意を表します。
さて昨年度は、文部科学省が全国学力・学習状況調査を一斉休校などの影響により中止しました。子どもたちの安全・安心、学習権の保障に専念できるようにするための措置と言えます。
ところが去る4月27日、萩生田文部科学大臣は、2021年度の全国学力・学習状況調査について、予定通り2021年5月27日に実施する考えを表明しました。
昨年来、新型コロナウイルス感染症の感染拡大はとどまるところが見えず、数種の変異株の出現もあり、子どもたちへの感染拡大が危惧されるなど、子どもたちの成長・発達にも深刻な影響を及ぼしています。何よりも子どもの命と健康を守ることが求められることは当然のことですが、同時に豊かな成長・発達と学ぶ権利をどのように保障するのかが問われています。
未だに子どもたちも教職員も感染の不安と感染防止の緊張の中で学校生活を送らざるを得ない状況です。必要なのは子どもたちの負担が過重とならないことを最優先に、安心して学校生活を送れるようにすることです。また教職員が子どもたちと向き合うことに専念できるよう、当面は独自の学力テストや不要不急な「教育改革」施策を中止、先送りするなどして、いま子どもたちにとって必要な授業や行事などの時間を確保すべきです。
2019年には国連子どもの権利委員会が日本政府に対し、教育分野でストレスの多い学校環境(過度に競争的なシステムを含む)から子どもを解放するための措置を強化することを勧告しており、全国学力・学習状況調査が「競争的、ストレスフルな環境」の一因となっていることからも、少なくとも自治体間の競争を煽るような悉皆(しっかい・全数)ではなく抽出で調査を行うべきです。
近年、児童・生徒の自殺が増加し、子どもたちが生きづらい思いをしていることに胸を痛めます。過度な競争を強いて、競争に打ち勝つ者が評価される理不尽な社会ではなく、誰もが幸せに生きる権利を持ち、自由で公平な社会のもと、あたたかいつながりを大切にした教育が今ほど求められているときはありません。
ついては憲法と子どもの権利条約に基づき、子どもたちが安心して、楽しく学校生活が送れるよう、2021年度の全国学力・学習状況調査について、大津市として不参加とし、国に対しコロナ禍を機に中止するよう求めることを強く要望します。
以上