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第3期大津市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画への要望

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『第3期大津市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画―おおつゴールドプラン(素案)』に対する要望

日本共産党大津市会議員団
2006/02/13

■はじめに

 介護保険の導入時、政府はその目的を「家族介護から社会が支える制度へ」「在宅で安心できる介護へ」、「サービスが選択できる制度へ」などとさかんに宣伝し、多くの国民が期待を寄せました。

 しかし現状は、特別養護老人ホームの待機者が大津市で、この5年間で1000人にも及びます。5年待っても入所できず、在宅での介護を余儀なくされ、介護者が病気で倒れるケースも生まれています。入所待ちで2年待ち、3年待ちが当たり前となり、基盤整備の不足はまさに保険あって介護なしという状況を生み出しています。
 
 また多くの高齢者が「介護の必要性」ではなく「いくら払えるのか」によって、受けるサービスの内容を決めざるをえない状況になっています。1割の利用料負担は、特に低所得者には重く、利用が抑制されています。大津市での利用限度額に対する平均利用率は5割にとどまっています。要介護認定されてもサービスの利用がない方がおられ、これらの方が介護サービスの必要がなかったと言い切れるものではありません。

 このように施設介護をみても、在宅介護をみても、政府が当初掲げたた「介護を社会が支える制度」という看板とは、まったくほど遠い制度になっているのが現実です。
 介護保険料がもともと高額なうえに、その値上げが繰り返されていることも深刻です。制度発足時、大津市の介護保険料は1か月2714円でしたが、3474円に値上げされました。その結果、大津市の保険料滞納者は、昨年度には死亡や居所不明を除くと1300人にも及びます。
 介護保険は、サービスの利用が増えると保険料値上げに連動する仕組みになっています。このため、保険料の上昇をおそれて、ただでさえ遅れている基盤整備が進まない状況を生みだし、保険制度と言いながら、十分な給付がない欠陥制度だと言わざるをえません。もともと、介護にかかる国庫負担の削減に、介護保険制度のおおきな政府のねらいがありました。

 憲法第25条が定める生存権を、すべての高齢者に保障する立場から見ると、現状はだれもが安心して必要な介護を受けられる制度になっておらず、改善が強くく求められています。
 国は当面、国庫負担を25%から30%に引き上げ、低所得者への保険料・利用料の軽減をするべきです。大津市では第3期事業計画の策定が行われているところですが、高齢者が安心して暮らせる地域づくりにむけて、国に改善を求めるとともに、そのとりくみを強めることを求め、以下の項目に沿って要望するものです。


@基盤整備について

 厚生労働省の施設整備目標にあわせるのではなく、地域における高齢者と事業所の実態に基づいたものとすることが必要である。特に特養待機者1000人からみても、3年でわずか710人から800人の90人に増やしても、とても解消できるものではない。
  • 「地域介護・福祉空間整備等交付金」による国の交付金にとどまらず、自治体による積極的な財源保障を行い、在宅・施設の必要な基盤整備を行うこと。
  • 社会福祉法人への建設補助をこれまでどおり進めるとともに、利用料減免に対する補助もあわせてこれまでどおり進めること。
  • 地域密着型サービスの充実すること。

A保険料について

 保険料の値上げをくいとめるには、国に第1義的な責任を果たさせることが何より重要であることは言うまでもない。
 本事業計画案では保険料1か月4000円の値上げが示されている。また税制の改正に伴い住民税非課税者から課税者になることで、保険料にはねかえる。政府の激変緩和措置は2年間であり、3年後には高額の保険料を払わなければならない。また基準額そのものの値上げが行われようとしている中、激変緩和措置そのものも充分とは言えない。
 このような中で自治体があらゆる手だてをとって、介護保険料の負担を抑えることが必要である。
  • 保険料を細分化し、所得の多い人に負担を求めること。
  • 介護予防や健康づくりにサービス切り捨てではなく、介護を必要とする高齢者が在宅で安心して暮らせる条件整備すること。
  • 積立金はすべて活用すること。
  • 一般会計から繰り入れて値上げ凍結のための独自の努力をすること。
  • 要介護認定者への障害者控除申請の周知をすること。

B利用料について

 介護保険の改定がすでに昨年の10月より行われ、特別養護老人ホームなどの介護施設の居住費、食費は、介護保険の対象外となり、原則として利用者負担になった。また、ショートステイの滞在費・食費、デイケア(通所リハ)の食費も保険対象から外され、利用者の負担が大幅に増えている。
  • 負担増となった居住費や食費に対して、低所所得者への軽減を設けること。

C新予防給付について

 「介護予防」による軽度の要介護者への給付抑制が行われようとしている。新予防給付のサービス利用の目的は、「自分でできるようになること」という狭いものになっているが、これまでの高齢者世帯を支えてきた介護サービスの乱暴な切り捨ては許されない。
 あくまで高齢者の生活実態に応じたきめの細かい対応が必要であり、地域包括支援センターの役割は重要と言える。
 計画案では、2006(平成18)年度は、保健師・社会福祉士・主任ケアマネージャーが配置(1センターあたり2名ずつ)される包括支援センター3か所を設置し、要支援1,要支援2の新予防給付のケアプランの作成にもあたるとしている。2007(平成19)年度に、志賀町地域も含めて7か所設置予定としている。
 要支援1,2は2000名と見込まれる中で、新予防給付のケアプランが3センターの体制で作成ができるのか。事業所に委託もできるとしているが、厚生労働省は事業所では、1人のケアマネージャーの受け持つケースは8ケースまでと制限をかけ、しかもケアプランの報酬単価がかなり低く設定されたので、事業者の確保できるのか懸念される。
  • 要支援1,要支援2などの軽度者への介護サービスは、必要なサービスは引き続き現行水準で受けられるようにすること。
  • 早急に保健師などを増員し、包括支援センターを7か所、市直営で設置し、きめの細かい対応をすること。
  • 包括支援センターの地域運営協議会は、センターの設置や運営にかかわる事項を決定したり、支援するもので役割が重大である。各センターに設置し、地域の福祉・医療・介護などの関係者や住民の参加を保障し、民主的な運営で、地域の高齢者の生活を総合的に支えるセンターの、本来の役割が果たせるようにすること。

D地域支援事業について
  • 地域支援事業の費用を、介護給付費の2006(平成18)年度2%から、3年後には3%に見込んでいるが、基本は公費負担とし、極力保険料からの支出はしないこと。
  • 以前より行っていた事業については、利用者負担を増やさないこと。新たに設ける事業は、原則無料とすること。

E介護が安心できる地域に
  • 家族の急病などにも対応でき、安心して在宅生活が続けられるように、緊急ショートステイを市の責任で確保すること。

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