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大津市内中学校生徒の自殺事件についての見解

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いじめのない学校と大津市をつくるために
―大津市内中学校生徒の自殺事件についての見解―

日本共産党大津市会議員団
2012/07/26

■事件への対応の問題点

 2011年10月に市内の中学2年生の生徒が自宅マンションから飛び降りて自殺した事件が起こり、学校が行ったアンケートにより、同級生によるいじめがあったことが明らかになりました。亡くなられた生徒に心からの哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆さんにお悔やみ申し上げます。
 この事件については、いじめと自殺の関連が強く疑われる状況であったにもかかわらず、早々に調査を打ち切った学校や教育委員会の対応、被害届を3回にわたって受理しなかった警察の対応などに重大な問題があったことは明らかです。
 しかも今年の7月に入ってからの報道で指摘されたように、2回目のアンケートの中に「葬式ごっこ」などの回答があったにもかかわらず、事実確認や真相解明が不十分であったことが明らかになりました。真相隠し・責任逃れではないかなどの批判が全国から寄せられる中、7月11日には警察による学校や教育委員会への強制捜査が行われ、その後生徒の遺族による告訴も受理されました。
 これまで生徒の遺族から損害賠償請求で訴えられてきた大津市では、越市長がいじめが自殺の原因であったことを前提に、第三者委員会による調査を行いその上に立って和解をしたいとの方針を示し、教育委員会との食い違いが表面化、教育委員会不要論まで表明するに至りました。しかし、教育委員会の対応に問題があるからといって、不要論を持ち出すことには問題があります。ともに教育行政に責任を負う立場として、いじめ問題に対するしっかりした認識と方針を共有しながら問題解決にあたることこそ大事です。
 この間大津市議会では、4回にわたって教育厚生常任委員会が開かれて、この事件についての調査を行うなど問題解明の努力が払われてきました。しかし、必要な情報提供が行われずに、真相究明に至らなかったという問題があり、引きつづき議会としても検証を行う必要があります。


■いじめの深刻さへの認識を深めること

 自殺した生徒は、日常的に殴られるなど深刻ないじめにさらされていました。いじめは深刻な人権侵害であり、被害者の心に一生残る傷を与えるものです。この事件でも、他の生徒からの通報などいじめをうかがわせる様々な事象がありながら、学校と教育委員会が、これを早期に発見し防ぐことができなかったことを真摯に反省すべきです。また、早期の対応が遅れたことにより、加害生徒に対する教育的指導の機会を逸したことも見過ごすことのできない重大な問題です。
 今後、真相究明に役立つ第三者委員会を立ち上げることになっていますが、一方で学校や教育委員会がなぜいじめを把握できなかったのか、どこにそのサインがあったのか、どのような指導が求められていたのかなどについて徹底的な検討を行うことを強く求めるものです。


■人間を大切にする大津市の教育をめざして

 日本共産党大津市会議員団は引きつづき真相の究明に努めるとともに、父母や教職員、地域関係者や市民の皆さんと力を合わせ、大津市でいじめをなくしていくために全力を尽くします。

(1)学校や地域からいじめや暴力をなくすために、ともに学び考え合う取り組みを進めます。

(2)いじめについての相談・対応の体制整備を行うとともに、少人数学級、複数担任制度、学校カウンセラーの配置の拡充、養護教諭の複数配置などの教育条件の整備を進めます。

(3)国連子どもの権利委員会が指摘をしているように、「過度に競争的な教育制度のもとで、子どもの発達が阻害されている」現状を改めるために、教育課程や教育方法の見直しとともに、地域社会での子育て支援の強化、子どもの貧困への対策強化など、教育と社会のあり方を市民的に検討する場を設けることを求めます。

(4)大津市議会では、「いじめ防止条例」の制定に向けて、政策検討会議の協議が始まりましたが、条例制定に際しては当事者である子ども、保護者、教員の意見などを積極的に反映させて、現実にかみ合った有効なものとするよう努めます。


■おわりに

 大津市では警察が捜査に入った中学校をはじめとして、関係機関などが大きな批判にさらされてきました。いじめについての学校・教育委員会への批判は当然のものもありますが、過熱する報道やインターネットなどによる行き過ぎたバッシングや脅迫などは是正されるべきです。
 日本共産党大津市会議員団は、弱いものいじめの社会を変え、人間尊重の社会をめざす立場で、いじめや暴力を無くし、子どもの命や権利が名実ともに尊重される学校、市政、地域をつくるために全力を尽くす決意です。


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