JCP-Otsu:party of the city council
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教科書採択にあたり、政治介入発言の撤回を求める申し入れ

日本共産党大津市会議員団
2005/08/05

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  去る8月2日に行われた市長定例会見において、目片市長は、個人的見解であると断りつつも、新しい歴史教科書をつくる会が主導する扶桑社版教科書について、「できうることなら、選ばれてもおかしくない教科書じゃないかな、というふうに思っている。」などと述べ、「現実的に適した教科書」と評価したと報道されています。

 しかし、来年度から使われる中学校教科書の選定作業が現在進行中であり、近く採択協議会の結論が出され、8月末には教育委員会での採択を控えています。
 市長がいくら「教科書採択は自らの所管外」であるとか、「個人的な見解」と前置きしたところで、このような重要な時期に、ある特定の教科書を「できうることなら、選ばれても」などと発言することは、教育予算の編成等、教育行政に大きな影響力を持つ自治体の長による教育現場への介入として、見過ごすことのできない重大な問題であります。

 すでにご承知の通り、新しい歴史教科書をつくる会は、今年度の教科書選定にあたって、政権与党である自民党を通じて教科書の採択を再三にわたって働きかけるという、まさに教育基本法の理念を踏みにじる違法な採択活動を行っています。このような面からも市長の発言は、これにくみするものとして、断じて容認することはできません。

  内容面でも扶桑社版の歴史教科書は、かつての日本の戦争を当時の戦争指導者が名付けた大東亜戦争と呼び、その目的を「自存自衛の戦争」であり、「植民地解放の戦争」であったと生徒に教えるものです。
 このような教科書が政府の行う検定を合格したことに対して、韓国・中国はもとより、世界中から大きな批判がわき起こっていることは、ご承知の通りであります。

 大津市は、韓国の亀尾市と姉妹都市提携を結び、中国の牡丹江市とは友好都市の提携を結んで、市民的な国際交流・友好関係を発展させてきました。
 両国両市民との友好の基礎にあるのは、日本の側のかつての戦争への真摯な反省と、これを出発点とする憲法9条の不戦の誓いであります。
 6月議会でも指摘をしたように、もし大津の子どもたちが「かつての戦争は自存自衛のための戦争だった。」、「植民地解放のための戦争だった。」などと教えられたとしたら、亀尾市や牡丹江市の子どもたちとの間に友好や信頼関係を築けるでしょうか。
 今、このような誤った歴史観を教え込もうとする教科書を、市長が評価し、教育現場に持ち込むことを求めることは、大津市のこれまでの国際交流事業の成果を台無しにするものであり、重大な障害を持ち込むものと言わなければなりません。

  以上の諸点から、市長が記者会見で行った発言について、日本共産党大津市会議員団は厳しく抗議し、市長がこの発言を撤回することを強く求めるものです。

※なお、市長がふれた南京大虐殺の人数については、この事件を否定しようとする論者たちが当時の「南京の人口は20万人程度だった」とする説をひいて、事件そのものが虚構であるかのように述べていますが、これらはすべて基本的に論破されています。
参考資料:『南京大虐殺否定論13のウソ』(南京事件調査研究会 柏書房。たとえば、藤岡信勝『近現代史教育の改革』、「一つの嘘(南京30万人虐殺)を繕う為にはもう一つの嘘(南京人口60万人説)がいる」(冨澤繁信、『月曜評論』1999年7月25日号)などについて、具体的な根拠となる文献について検証しています。)
 


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