2010年11月議会 意見書への賛成討論

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 私は、日本共産党大津市会議員団を代表して、意見書(案)第39号 日本軍「慰安婦」問題に対して、政府の誠実な対応を求める意見書、ならびに意見書(案)第40号 県立高校の「統合・再編計画」の中止を求める意見書についての賛成討論をおこないます。

 まず意見書(案)第39号 日本軍「慰安婦」問題に対して、政府の誠実な対応を求める意見書についてです。
 今年は日韓併合から100年を迎えました。そしてアジア・太平洋戦争の終結から65年が経過しましたが、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与え、いまだに戦争被害の傷は癒されていません。日本軍「慰安婦」問題は、その象徴的な被害であり、人間としての名誉と尊厳を著しく傷つけられた被害者の思いは筆舌に尽くしがたいものがあります。
 「慰安所」等でのレイプは、65年以上も前のことですが、1991年に韓国の元「慰安婦」金学順さんが日本政府に賠償と謝罪を求める訴えを起こして、これをきっかけに政府は平成5年(1993年)、内外関係機関・関係者への調査を踏まえ、河野官房長官による談話を発表しました。この談話では、旧日本軍が「慰安所」設置に直接関与していたことや、「慰安婦」が本人の意思に反して集められたこと、それにより「多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」ことを明らかにしました。そして、心からのお詫びと反省を表すとともに、「そのような気持ちを我が国としてどのように表すのかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える」と述べました。
 しかしその後、政府は被害者への閣議決定による公式の謝罪や国家による補償をおこなわず、進展もありません。
 国際社会において、日本政府がこの問題の法的責任を拒否し続けることは、もはや許されません。国連人権委員会の勧告をはじめとして、近年ではアメリカ、オランダ、カナダ、EU、フィリピン、韓国および台湾の議会においても、日本政府に対する日本軍「慰安婦」制度被害者への公式謝罪と賠償、歴史教育を求める決議が相次いで採択されています。2009年8月、国連女性差別撤廃委員会は、「被害者への補償、加害者処罰、一般の人々に対するこれら犯罪に関する教育を含む永続的な解決を見出す努力を緊急におこなう」ことを日本政府に厳しく勧告しています。
また、国内では2008年3月以降、この問題に対する早期解決を求める意見書が29市議会で決議されています。
 アジア各地で被害にあった元日本軍慰安婦の方々の多くが80歳、90歳という高齢となり、被害者の訃報が相次いでいます。戦争が終わって日本軍「慰安婦」の多くは殺されるか、その場に捨てられることになりましたが、やっとの思いで故国に帰っても、体が壊され病気や、レイプによるトラウマに苦しみ、偏見と差別の中で長く戦後を生きずにはおられなかった苦痛や屈辱を残したまま亡くなっていくのです。一刻も早く日本政府が具体的施策をおこなっていくことが強く求められています。
 「慰安婦」問題に誠実に対応することは、人々の戦争被害の傷を癒すことのみならず、日本がアジアをはじめとする国際社会と平和的に共存してゆくために不可欠であり、真に人としての尊厳が守られる社会の構築のためにも欠かせません。
 よって本意見書への議員各位の賛同を呼びかけるものです。

 次に意見書(案)第40号 県立高校の「統合・再編計画」の中止を求める意見書についてです。
 県立高校の「統合・再編」計画について、現在開会中の滋賀県議会においても議論がおこなわれ、先般の12月3日には今年度中に策定するとしていましたが、来年度に延ばすことを明らかにしました。県教育委員会は、11月に県下で保護者を対象にした説明会において、周知不足の声が非常に強かったことなどを理由にあげ、しっかり検討するためには時間が必要だとしています。そして県の考え方をいっそう周知していくことが必要だとも述べ、来年度の計画策定に意欲を示しています。
 今回の計画策定に当たっては、県民から「統合・再編」計画そのものへの疑問や反対の声が大きく広がっています。「周知不足」を理由にしていますが、今年度策定しようというのであれば、現小・中学校の保護者や教育関係者のみならず、県民に広く情報を提供し、課題や計画の根拠をしっかりと示すべきです。それができていないという現状の県教育委員会の態度では、今回の「統合・再編」計画の推進は道理のないものといわざるを得ません。また湖南市議会が30日には市内の石部高校の存続を求める意見書が全会一致で可決され、県内19市町のうち14議会が意見書を出し、複数の首長が反対を表明しており、「高校統廃合計画をいったん中止することを求める」請願書が25,711筆提出されていることでも現れているのではないか思います。
 今回、県教育委員会がすすめている県立高校の「統合・再編計画」では、生徒数の減少、大きな規模の学校、社会の急激な変化や生徒の多様化、厳しい財政状況という課題解決のためには県立高校の「統合・再編」が必要だとしています。
 しかしこの必要性についても問題があります。生徒数が減少するということでも、今後10年間で全県の中学卒業生の数はほとんど変化がありません。地域別でみても大きな変化はなく、むしろ流入人口が増加するにあたって生徒数が増える可能性があります。
 厳しい財政という点でも、「財政不足」は他府県も同じ状況です。高校を1校廃止しても5,000万円ほどの節約にしかならず、滋賀県全体の予算は約5,000億円です。県が高校生一人当たりに使う教育予算は、全国ワースト5に入り、全国トップの大分県の予算の半分でしかありません。お金の使い方ということからも、教育予算の増額こそが求められるのです。
 大津では、例えば市内の県立高校が廃止されなくても、他地域で統廃合がおこなわれれば、その地域から大津の高校を志願する子どもが増えるでしょう。全県一学区制が導入され、大津以外から大津の高校に通う子どもは14.1%から30.8%に増え、大津から大津以外へ通学する子どもは8.8%から18.4%に増えています。受験競争が加熱化されているところで、いっそう加速され「大津の子どもが大津の高校に通えない」事態がさらに拡大することが予測されます。
 こうしたことから拙速に「統合・再編」をおこなうことは子どもたちの未来に禍根を残します。今回の県立高校「統合・再編」計画はいったん白紙に戻し、この間県がおこなってきた高校改革をしっかり検証することや、子どもたちが豊かに学ぶことができる教育環境をどのように整備していくことが必要なのか、広く議論していくことを県に求めていくことが大切です。議員各位のご賛同を呼びかけ、賛成討論とします。