杉浦市議:
政府は、「幼保一体化を含めた保育分野の制度・規制改革」の検討をすすめるとして、今年1月、内閣府に「子ども・子育て新システム検討会議」を設置。6月に「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」を公表した。
新システムの問題点
@保育に市場原理を持ち込む直接契約制度で、応益負担を基本としている。
サービスの確保は利用者の自己責任で、負担が増えればサービス利用が抑制。保育園の収入は不安定になり、運営の困難化と職員処遇の低下が心配される。
A「はじめに一体化ありき」で制度が提案されている。
成り立ち、子どもの年齢構成や職員の資格など、多くが異なる幼稚園と保育園の一体化は、短時間で結論が出せるものではない。
背景に安上がりな待機児童解消としての幼稚園の活用という思惑も。
B保育の最低基準の廃止、地方条例化が示されていること。
子どもの権利保障の責任を国が放棄し、子育ての地域格差がいっそう広がるおそれがある。
C児童福祉の視点が欠落していること。
新システムには、障がい児や被虐待児など社会的養護を必要とする子どもへの対応が示されていない。
また、子どもの貧困問題が深刻化していることから見ても問題。
公的保育の責任を担う大津市としての、新システムへの見解を。
川端福祉子ども部長:
新システムの要綱の策定には、保育関係者や保護者、関係団体等からのヒアリングも行なわれており、今後も、保育関係者等を構成員とする協議会で協議される予定。
これら団体の意見を取り入れた制度の構築がなされると考えている。
杉浦:
政府は子育て・保育への公的な費用を削減してきた。新システムは、保育の市場化で、公費の増額なしに保育サービスを増やすねらい。
新システムの導入をやめ、子どもの最善の利益を保障する改革を行うことを国に求めるべき。市の見解は。
福祉子ども部長:
全国市長会等、地方関係団体も参画して協議会が発足する予定。国の動向を注視していく。
財政支援に関しては、待機児童解消に向けた施設整備等のため、安心子ども基金の継続を市長会を通して要望している。
杉浦:
ひえい平保育園の移転新築が、幼稚園に隣接して一体的に整備することで検討されてきた。
幼稚園と保育園という役割が異なる施設を「一体的整備」するとは、具体的にどうなるのか。
澤村教育長:
「一体的整備」とは、幼稚園と保育園が同じ敷地内で施設を共用し、幼稚園教育の時間帯には4、5歳の子どもたちがいっしょに活動し、その後保育園児は従来の保育園の生活をすること。
杉浦:
「一体的整備」の課題と解決の手だては。
教育長:
保育時間が異なる、送迎時の安全確保、給食と弁当の違い、職員の勤務体制など多くの課題がある。
話し合いや先進地の例も参考にして解決策を検討していきたい。
杉浦:
保育室・職員室の設定、職員体制、給食など、現在と変化があるのか。
教育長:
現在、「共通保育・教育課程検討委員会」で、互いの保育計画や指導方法の違いについて協議。
子どもたちに無理のない園でのすごし方や発達に合った遊びなど、子どもにとってふさわしい生活の実現に向けて研究している。
杉浦:
「一体的整備」が、比叡平という地域性のもとでの子育てのために、有効な条件整備となるよう期待するが、地域での子育て支援はどのように進めていく予定か。
教育長:
これまで培ってきた互いの子育て支援に関するノウハウを生かし、職員が協同で事業にあたっていく。
杉浦:
幼稚園・保育園という枠組みを超えて、保育、教育のあり方、子どもたちの発達をどのように保障するのかという研究や議論は非常に重要。
今後の施策にどう生かしていくのか。
教育長:
従来から行なってきた中学校ブロックでの保幼小中連携と合わせて、今年度から幼稚園長と保育園長の合同研修も実施し、就学前教育の推進が図れるよう努めている。
互いの機能と役割を踏まえ、就学前教育の充実のためにともに歩んでいきたい。
杉浦:
国が、効率化や市場原理で、一元化を進める流れが強まっている。
保育、教育に何が必要なのか、どんな環境が望ましいのか、必要な保育をどう保障するべきか。
すべての子どもたちにとっての保育、教育のあり方が検討されていくべき。市の見解を。
福祉子ども部長:
新しいシステムが国で検討されているが、不透明な部分が多い。いろんな形で意見が交わされている。
国の制度は、児童の権利に関する条例の第3条にもあるとおり、子どもの最善の利益が主体として考慮されるべき。制度構築には十分に時間をかけるよう望んでいる。
教育長:
保護者は、一定の集団の中で遊びを通して子どもたちの育ちをしっかりと身に着けてやりたいと考えている。それが確保されていくシステムになっていかなければならない。
その点で、比叡平の幼保一体化は、少人数の幼稚園からすると一定の集団が確保され、遊びや経験が豊かになっていく。小学校との交流が活発になり、小学校との接続に向けてともに保育、教育内容を考えていける。比叡平幼保一体化には期待している。
杉浦市議:
大津市葬祭センター「来夢」で本年4月に実施した自宅葬儀において、外部設営業務で、受託業者及び市職員が料金を水増し請求したという事実が発覚。
事件の発覚で、市営葬儀事業の自宅葬が休止。市民から、困惑の声や早期再開の希望が寄せられている。
課題が多く、困難さは理解するが、市営葬儀事業の低廉で安心・信頼の葬儀を提供するという目的に照らし、自宅葬の再開を急ぐべき。
条件が整うまでの間、緊急避難的に直営などで自宅葬を実施できないか。
増田市民部長:
事件の再発防止策の検討など時間を要するため、自宅葬を中止し、葬儀ホールでの葬儀のみ実施している。
告訴、仮処分の申し立てが出されている状況で、その推移を見極める必要もあり、緊急避難的な直営による再開も含め、困難。
杉浦:
市は、「自宅葬の件数は減少傾向であることから、今後の市営葬儀サービスのあり方について…見直しをすすめる」として、検討委員会で「自宅葬・ホールの存続」を検討するとしている。
市営葬儀の廃止を考えているのか。
事業の目的からも、市民の期待や信頼は厚く、「市民福祉」の一環としての役割は大きい。存続させるべき。
市民部長:
本年7月に設置した「葬儀事業のあり方検討委員会」で、現状と課題、望ましい葬儀事業のあり方、管理運営手法など客観的なデータや他都市の事例も参考に協議している。
検討委員会の報告を踏まえて、市営葬儀の方向性を見極めたい。
杉浦:
市営葬儀でも指定管理者制度導入、市営葬儀廃止が懸念される。
どういう状況にあっても人の最期をきちんと送ることができるよう、福祉の立場を生かして市営葬儀がおこなわれてきた。
市の事業としての意義について、認識を。
市民部長:
市営葬儀は、昭和26年から開始。
総合計画第2期実行計画にも市営葬儀の充実を掲げているが、60年が経過する中で社会状況も変化。見直しのため「葬儀事業のあり方検討委員会」で望ましいあり方を検討している。
意義は認識しているが、今後については、検討委員会の報告を踏まえて見極める。
杉浦:
市が市営葬儀をやってきたことの意義をあらためて職員と共有し、職員のあいだでもきちんと議論し、再発防止策に取り組むよう努力を。