日本共産党大津市会議員団を代表して質問に立ちました。
質問では、市長の基本姿勢や市政の方向を質すとともに、市民にとってとくに切実な、景気対策、子育て、福祉について取り上げました。
※質問および答弁は、どちらも一括しておこなわれましたが、項目ごとに掲載しています。
※ポイントとなる箇所に 色をつけています。参考にしてください。
杉浦市議:
国民の中に、民主党政権への大きな失望と怒りが広がっています。
90年代後半からの「構造改革」は不安定雇用を広げ、増税や社会保障の切り下げによって、国民に耐えがたい痛みをもたらし、格差や貧困を広げてきました。
一昨年、国民は生活を守ると公約した民主党への政権交代を選択しましたが、民主党政権は公約違反をくり返し、いまや自民・公明政権の時代に逆戻りし、社会保障の改悪と消費税増税の路線を進もうとしています。
昨年末から日本共産党がおこなっている「大津市民アンケート」には、1,600を超える回答が寄せられています。
「保育園に入りたいが入れない、保育園を増やしてほしい」「義務教育にお金がかからないようにしてほしい、家計が苦しい家庭は塾に通わせられない」など若い世代から、子育てや教育に関する意見や要望が切々と書かれていることに胸がつまります。
高齢者世帯や高齢者を介護する世帯からは、「特別養護老人ホームに入れず、家族は途方に暮れています」「介護サービスをもっと利用したいが利用料が払えない」など高齢者を取り巻く暮らしの実態も大変です。
暮らしの状況でも「給料やボーナスが下がって家計は火の車」「年金が下がった」など「苦しくなった」と答える方が60%を超えています。
大津市の納税義務者の年間給与所得の推移を見てみますと、ピーク時といわれる97年から約56万円減少。特に働き盛りといわれる30〜40歳代が失業・転職などで収入が激減し、住宅ローンの返済ができなくなったり、家庭が崩壊するなど困難に直面しています。また中小零細業者や農業従事者も生活できる収入が見込めなくなるなど、生活の基盤自体を揺るがす深刻な事態を生み出しています。
いま市民が政治に求めているのは、子育てでも福祉でも安心して暮らせる保障を築いてほしいということではないでしょうか。これまで進められてきた「構造改革」政治、すなわち一握りの大企業などを応援すれば景気も経済もよくなるとして規制緩和を進め、人・モノ・金を集中するやり方や、公的サービスを市場に任せるやり方を転換することが必要です。
目片市政は、このような住民の声にしっかり応えてきたと言えるでしょうか。
たとえば、「事業仕分け」で敬老祝い金を削減するなど住民サービスを低下させたり、行政改革プランの実行を口実に、大型ごみ有料化、上下水道料金など公共料金の相次ぐ値上げなどがすすめられてきました。一方で財政が厳しいと言いながら、JR駅名改称や庁舎整備基金の積み増し、大企業への企業立地・工場建設の補助金など不要不急のムダ使いも指摘しておかなければなりません。
今議会に競輪事業の廃止が提案されていますが、早期廃止を求める声に対して「(赤字は)100億円くらいまではいいんじゃないか」とか「(他の競輪場と)がまん比べ」などと言って廃止を先送りし、大きな財政負担を市民に負わせる結果となったことでも、市長の責任は重大です。
厳しさを増す市民生活を支え、安心して暮らせる大津市をつくるために、これまでの負担増やサービスの切り下げ、ムダ使いをあらため市民本位の市政を進めることを求めます。
市長の、市民生活の現状認識と市政運営の基本についての見解をお聞かせください。
目片市長:
2月の月例経済報告によれば、景気は足踏み状態を脱しつつあるが、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にあり、デフレの影響や雇用情勢の悪化など地域経済への影響が長期化している現状にあります。
本市でも、給与所得や事業所得の伸び悩みなど市税の伸びが見込めない状況にあることや、平成23年度の当初予算案で扶助費が歳出の4分の1を超えることからも、市民生活は大変厳しい状況にあると認識しています。
このような中、来年度の予算編成では、総合計画第2次実行計画の着実な推進と健全財政の堅持を基本方針として、基金や地方交付税等を有効活用し、財源確保に努めました。今後とも、市民本位の視点に立ち、決断と実行、継続と改革の理念のもと、市民福祉の向上を目指し、効率的効果的な行政運営に努めていきます。
杉浦:
今議会に「家庭系一般ごみの有料化を中止し、ごみ減量対策の充実を求める請願書」が、市民6,752筆の署名が添えられ提出されています。請願では「家庭系一般ごみの有料化をおこなわないこと」と「ごみ減量の積極的な目標を持ち、リサイクルのシステムを充実して、行政・市民の協働で取り組みを進めること」を求めています。
1)手数料の徴収について
杉浦:
市民のみなさんと話していると、そもそもごみ処理は税金でおこなうべきではないかという声が多く聞かれます。
地方自治法第227条第1項では、「普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収することができる。」 としています。ごみ処理は市町村の固有の事務であり、生活を営めばごみの発生は特別のことではなく必然的なもので、ごみ処理を要する住民は特定の者とは言えませんから、手数料を徴収することはこの規定に反するのではないでしょうか。
市長:
ごみ処理は自治事務に当たるものであり、市町村の事務です。ごみ処理を必要とする住民のためにおこなわれるものですので、特定のものに対する事務として市町村が手数料を徴収することができます。
また平成21年10月14日の横浜中央裁判所の判決でも、普通地方公共団体の役務の提供と受益者との間に対応関係があり、この役務に対して手数料を徴収することは違法ではなく、地方自治体の裁量の範囲であると示されたところです。
2)ごみ減量施策について
杉浦:
日本共産党大津市会議員団は、
@ごみ有料化で市民に経済的負担をかけてごみ減量を図るのではなく、ごみ減量の積極的な目標を掲げて、減量・リサイクルのシステムを整え、正面から市民に協力を求めること。
A拡大生産者責任を明確にして、おおもとからごみのでない社会づくりを進めること。
を提案し、先進都市などの独自の調査をもとに市長に提言もしてきました。
大津市でも旧志賀町域で生ごみ堆肥化のモデル事業が開始され、古紙の集団回収への補助が拡充したり、アルミ缶の集団回収補助もおこなうなど前進していますが、他都市と比べても、ごみ減量とリサイクルへの取り組みは十分とは言えません。
市長は先頃の提案説明の中で、「家庭ごみの有料化導入には、市民の理解を十分に得ることが重要であり、これまでにもましてごみ減量や資源化の施策を充実させていく必要がある」とのべ、「導入の是非も含めて適切に判断してまいりたい」と言及されました。
すでに行革プランや新しいごみ処理基本計画には、家庭ごみ有料化が掲げられていますが、有料化の中止を決断し、積極的なごみ減量の目標を持つこと、そのための施策を具体的に展開する計画を持つこと、ごみ減量で焼却場の規模や箇所数の縮小を検討することなどに取り組むべきと考えます。見解をお聞かせください。
市長:
家庭ごみの有料化については、平成20年8月に「大津市廃棄物減量等推進審議会」に諮問し、去る1月24日に有料化によるごみ減量の効果や負担の公平性を図る点から、本施策を導入すべきであると審議会から答申をいただきました。
有料化の導入には、市民の理解を十分に得ることが重要であり、これまでにも増してごみ減量、資源化の施策を充実させていく必要があります。今後のごみ量の動向なども見極めながら、導入の是非も含めて適切に判断していきたいと考えています。
また現在、「一般廃棄物処理基本計画」の策定を進めており、その中でごみの減量目標を設定し、市民と協力のうえ減量目標を達成すべく、今後施策を推進していきます。
ごみ焼却施設は、本市の市街地形状から分散配置することの効率性、災害対応、長期施設停止等のリスク低減等のため、3地域分散処理方式を基本に整備を進めていきます。
なお規模については、今後のごみ量の推移等により、適正に決定していきたいと考えています。
杉浦:
現在、大津市では、公共施設の公共性や必需性の観点から、その使用料のあり方について見直しの検討がおこなわれています。
公共施設使用料のあり方を検討することを否定するものではありませんし、既存施設も含め、公共施設の役割や位置づけ、活用方法など広く議論していくことは大切です。「スポーツ振興計画」「文化振興ビジョン」と相次いで新しい市の方針が策定されている時期でもあり、あらためて市民の文化、芸術、スポーツに親しむ権利をどのように保障していくのか、行政の役割は重要です。
一方で「中期財政計画」と「行政改革プラン」では使用料の見直しを掲げ、民間で提供できるものは民間でと市場任せで、応益負担の考えが強められています。計画では公共施設の使用料見直しで約7,000万円も市民負担を増やす試算をしています。
市民誰もが個人の経済条件に関わりなく、文化や芸術、スポーツに親しむ権利を持ち、これを保障していくことは、社会の発展や、人間性あふれる豊かなまちづくりを進める点でも重要です。とりわけ市民生活の困難が強まっている今だからこそ、使用料の値上げはおこなうべきではないと考えますが見解をうかがいます。
市長:
これまで定例市議会、議会の総務常任委員会で、多くの議員から指摘いただいた課題や、大津市行政改革推進委員会から提出された意見書を踏まえ、統一的な考え方となる公共施設使用料設定基準を策定し、文化、芸術、スポーツ施設をはじめ、それぞれの施設が提供するサービスの性質や目的に応じた使用料の適正化を早期に図ろうとするものです。
今回の取り組みは、使用料の値上げを前提とするものではなく、それぞれの施設の設置目的を考慮するとともに類似施設との均衡を図ったうえで、施設を利用される方とされない方との負担の公平性、使用料の算定根拠を明確にした透明性の確保を第一義の目的としたものであり、今後も効率的、効果的な施設運営と、経費の削減に取り組んでいきたいと考えています。