2011年2月議会代表質問(大要)

 ※質問および答弁は、どちらも一括しておこなわれましたが、項目ごとに掲載しています。
 ※ポイントとなる箇所に   色をつけています。参考にしてください。

録画映像がご覧いただけます。



3:市民の命と健康を守る国民健康保険事業について

1)保険料の引き下げ、減免制度について
杉浦市議:
 大津市の昨年度の国民健康保険料は、一人平均91,000円、県内で4番目に高い保険料で、所得300万円の4人家族では42万円と、所得の1割を超える重い負担になっています。保険料が払いたくても払えない世帯は約7,800世帯で全体の15%、7件に1件。国保加入世帯の75%が所得200万円以下の世帯です。
 これまでの議会での議論でも、このような国保料のあり方に問題があることは、市当局も認めてこられたことであり、ましてや保険料が払えないために保険証を手にすることができない、医療機関にかかれずに手遅れでなくなるなどという事態は、国民健康保険事業の目的そのものを損なう重大な問題と言わなければなりません。

 高すぎる国保料の大きな原因は、1980年代は国が医療費の50%を支出していたものが、今日では24%にまで落ち込んでいることがあります。
 同時に昨年の議会での議論で明らかになったように、保険料の算出で、予定収納率で割り戻す部分、すなわち、滞納分の上乗せをしている部分が約5億円で被保険者1人あたり7,000円、高額所得者の限度額調整による負担軽減分が9億円あまりで被保険者1人あたり12,000円になるなど、あわせて1人あたり2万円程度の保険料負担の増大となっていることが、制度の重大な矛盾として国保加入者の生活を直撃しています。
 しかも、このような上乗せされた保険料を払えなければ、短期保険証や資格証などの制裁措置が取られるばかりでなく、滞納差し押さえまでおこなわれていることは、社会的正義の観点からも容認することはできません。

 保険料の引き下げは、本来、国が国保に対する負担を元に戻しておこなうべきですが、大津市が自治事務として実施している事業でもあります。独自の繰り入れをおこない、せめて上乗せ分の半分、1人1万円の保険料引き下げを実施すべきです。
 また、現行でも滞納者の分を他の被保険者に上乗せして徴収しています。このような不合理なことはやめて、筋の通る所得に応じた減免制度へと切り替えるべきではありませんか。
これまで大津市は、市独自の繰り入れは、他の健康保険に加入している市民の理解を得られないとして拒んでこられました。しかし、現状は、「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」とした国民保険制度の目的を損なう運営になっているのではありませんか。一部の市民のために税金を使うことは理解が得られないなどと言えば、たとえば障がい者の命と権利を守る福祉制度などは成り立たないことになるのではないでしょうか。
 市民の命と健康を守るために、詭弁はやめ、保険料引き下げを真剣に検討するべきです。

茂呂健康保険部長:
 国民健康保険は、全国的に大変厳しい財政状況にありますが、本市では今年度、繰越金を投入して保険料の抑制をし、低所得者には実質引き下げとなりました。
 また従来から、保険料のうち均等割と平等割の部分は、所得に応じて7割、5割、2割の3段階の軽減措置を講じており、今年度では42%の世帯がその対象となっています。これとは別に疾病や失業により所得が減少した世帯、母子世帯、身体障害者等の世帯に対する保険料の減免もおこなっています。さらに本年度より法改正を受け、リストラなどにあわれた方への新たな保険料軽減措置を実施し、すでに785人に軽減をおこないました。
 これらの制度を適用してもなお保険料の支払いが困難な世帯に対しては、納付相談でその家庭の状況を十分に把握したうえで、きめ細かな対応に努めています。まずこの点をご理解いただきたい。
 保険料の抑制は議員お述べのとおり、本来国の責務としておこなわれるべきです。市が国の肩代わりをして、34万市民に負担を求め実施することは、国保制度の趣旨にかんがみて適切ではないと考えます。
 すでに保険料の減免や軽減をおこなっていますので、新たな減免制度は考えていません。


2)国が進める制度改悪について
杉浦:
 政府は、協会健保などと同じように国民健康保険制度の広域化を進め、現在市町村が独自に実施している保険料軽減などの措置をやめるよう通達を出しています。
 これは今でも深刻な国保加入者の生活をますます追い詰め、きめ細かな納付相談や市民の実情を反映した国保の改善などを不可能にするものです。広域化の大きなねらいは、医療費削減と国の負担をさらに削減することです。このような制度改悪をおこなわないよう、被保険者の立場に立って、国に求めるべきと考えますが見解をお聞かせください。

健康保険部長:
 本市としては、国保制度を将来にわたって持続可能なものとするために、国のしっかりとした財政責任のもとで広域化を推し進め、保険財政の安定化、保険料負担の公平化を図ることが重要と考えています。
 よりよい制度構築に向け、国への財政支援の拡充、制度運営の改善等につき、ひき続き、全国市長会等を通じて要望をしていきます。