※質問および答弁は、一括しておこなわれましたが、項目ごとに掲載しています。
※ポイントとなる箇所に 色をつけています。参考にしてください。
杉浦:
大津市の平成23年度予算は、市税収入は依然として厳しいものの、地方交付税や国庫支出金が一定確保されたことから、前年比2.6%増の積極型予算となっています。
特に扶助費を中心とした民生費が目的別歳出の4割台となったことは、市民生活の困難さを反映したものでもありますが、東部児童デイサービスや予防接種の公費助成、子どもの医療費助成の拡充、学校施設の耐震化など子育て分野を中心に、市民のいのちと健康を守る点で前進がはかられたことは評価するものです。
同時に、今日の市民生活の実情から、なおいっそうの取り組みが求められている課題についてうかがいたいと思います。
1)待機児童解消について
杉浦市議:
これまでにもくり返し議論してきていますが、年度末にはなお300名余りの待機児童が存在し、産休・育休明けでも入所できず仕事に復帰できない状況も起きています。子育て世帯の願いである、安心の子育てと仕事が両立できる状況にはありません。
県下の他の市町と比較して、児童数に対する保育園数が十分とは言えないのではないでしょうか。新年度予算では、民間保育所2園の増設予算が計上されていますが、認可保育園のさらなる新設が必要です。取り組みの現状と見通しについてうかがいます。
川端福祉子ども部長:
保育所定数は、「次世代育成支援後期行動計画」の計画期間である平成26年度までの5年間に660名の増を目標としていましたが、今日の景気低迷などにより待機児童問題がいっそう深刻化しており、計画を前倒しして整備を進めることとし、平成23年4月には民間保育園5か園の新設などで405名の定数増を図り、目標の約90%にあたる600名の増となりました。
しかし、さらなる保育園の整備を進める必要があり、今後は計画の見直しも視野に入れて対応していきたいと考えています。
杉浦:
新聞報道によると、国が財務省の国家公務員宿舎の空き室を活用して保育ママ事業に取り組まれるとのことです。
国有地や県有地などの未利用の公有財産を活用するよう国・県に働きかけ、市有地も含め市として保育園整備を一気に前進させる考えはないでしょうか。また要請や働きかけはおこなっているのでしょうか。
福祉子ども部長:
公有財産の未利用地の活用については、国が「新成長戦略」において、その有効活用に取り組んでいるところであり、今回の別所合同宿舎での家庭的保育士の開設も、その一環として市と大津財務事務所が一体となり取り組んだものです。
保育所としての活用も、すでに候補地の協議をおこなっていますが、現在のところ適当な場所が見当たらない状況です。
今後も必要に応じ協議を重ねていきます。
2)国の進める「子ども・子育て新システム」について
杉浦:
いま国は、営利目的の民間企業の参入、保育士の配置や保育水準の引き下げをすすめ、国や自治体の公的責任を後退させて、保育所選びを保護者に押し付け、負担を大幅に増やす「子ども・子育て新システム」で保育制度を改悪しようと狙っています。
子育て安心の大津のまちづくりのために、保育制度改悪をやめるように国に求めるとともに、公的保育を拡充するための財政確保を求めるべきです。見解をうかがいます。
福祉子ども部長:
現在、国で保育関係者や全国市長会など地方関係団体を交えた協議、検討がされており、その動向を注視していきます。
また財政支援など、国の果たすべき責任に対しては、機会を捉えて要望していきたいと考えています。
3)教育環境の整備について
杉浦:
市内の幾つかの小中学校で、壁や床板がはがれていたり、雨漏り、トイレの異臭やつまりが長年放置されてきました。また、トイレがいまだに和式が主流なため、学校で用を足さずに我慢し帰宅してから用を足す子どもがいることをご存じでしょうか。
学校施設の耐震化にはほぼ目途がついてきましたが、ひき続ききちんと予算枠を確保して、計画的な学校施設の改善、メンテナンスの促進をはかることを求めます。
澤村教育長:
良好な教育環境の確保のために厳しい財政状況のもと、これまでもトイレのつまりなども放置することなく、また施設の雨漏り修繕などの緊急工事、経年による施設の機能低下に対する復旧措置、生活の多様化に対応するためのトイレの洋式化などにも取り組んできました。
今後も危険性や緊急性を考慮しながら、国庫補助などの財源を活用できる大規模改造事業などを実施していくことで、年次的によりよい教育環境の整備に努めていきたいと考えています。
杉浦:
昨年の猛暑の時期にも、早急にすべての幼稚園・小中学校にクーラーを設置することを求めてきました。耐震化工事の関係もあり、扇風機の設置で対策をすすめてこられ、来年度予算にも計上されています。
しかし、猛暑に扇風機で対応とはあまりに時代遅れではないでしょうか。県下でも近江八幡市や草津市では全校にクーラーを設置されるそうです。大津市でも全校へのクーラー設置に踏み切ることを求めますが、見解をおうかがいします。
教育長:
保健室、図書室、コンピューター室、校長室、職員室には、すでにエアコンを整備しています。普通教室については、厳しい財政状況でも学校の立地条件や室内環境を見極めて、年次的に扇風機の整備を進め、今年の夏までにはすべて完了させる予定です。
なお現在の財政状況では、普通教室へのクーラーの整備は非常に困難と考えます。
4)中学校給食の実施について
杉浦:
この間くり返し中学校給食の実施を求めてきました。
「食育」が重視され、全国では86%の中学校で、何らかの形で給食が導入されています。滋賀県では46%の中学校で実施されており、大津市はあまりにも立ち遅れています。
子育て応援と言うのであれば、保護者の切実な願いでもある中学校給食を導入すべきです。見解をうかがいます。
教育長:
大津市の中学校における昼食の考え方は、思春期を迎える中学生は一人で物事を考えたり、友達と行動することが多くなったりするなど、家族との関係が希薄になっていく傾向があります。家庭の手作り弁当を通して、家族とのコミュニケーションを図れる、感謝の気持ちが生まれるなど親子の絆を深めることや、中学生ともなると個人差が大きくなり、個々に応じた昼食のほうが好ましいと考えるため、家庭の手作り弁当持参を基本としています。
杉浦:
介護保険が導入され10年、制度がようやく定着してきたものの、保険料・利用料の負担は高齢者の暮らしを直撃しています。そのうえ全国で介護心中や介護殺人、孤独死といわれる悲惨な事件がくり返され、居宅での介護に限界を感じている世帯が増えていることがうかがえます。
高齢化が進めば進むほど、居宅介護でなく施設介護を希望せざるを得ません。しかし、大津市の特別養護老人ホームへの入所待機者は1,000人を超え、来年度に124名定員を増やすための新設・増築が予定されていますが、必要な施設介護が受けられない状況が依然として続いていることは、一刻も早く解消しなければなりません。
特別養護老人ホーム等の入所施設を大幅に増やして、待機者を解消する計画を進めるべきです。
茂呂健康保険部長:
特別養護老人ホームの待機者は高齢化の進行などを背景に年々増加しており、本市としても適切な対応に努めているところです。
平成21年度から23年度を期間とする「第4期介護保険事業計画」では、従来の入所定員820名に加え、124名の増員を計画し整備が進んだことから、平成23年度には合計定員が944名となる予定です。
それ以降の整備については、介護保険制度では特別養護老人ホームなどの施設整備が給付費の増加や保険料の引き上げに直結するため、一気に整備を進めることは困難ですが、平成24年度からの第5期計画でも可能な限り整備を図っていきたいと考えています。
杉浦:
施設入所までの期間や、居宅で介護する家族の休息期間などに緊急、一時的に入所でき、また自立した生活に不安を感じるようになった低所得者や独居高齢者が安心して利用できる施設が求められます。
「地域介護・福祉空間整備交付金」などを活用して、介護保険制度の枠外で、高齢者の生活支援をおこなう入所・通所を含めた施設づくりを検討することを提案します。見解をうかがいます。
健康保険部長:
現在、介護をされる家族の緊急、一時的なニーズに対しては、介護保険のショートステイや老人保健施設、小規模多機能施設などを利用いただいています。
また自立した生活に不安を抱える低所得者や独居高齢者の方々には、老人福祉法に基づく養護老人ホームやケアハウスをはじめ、地域支援事業による在宅サービスをご利用いただき、虐待などによる緊急対応が必要な場合は、老人福祉法に基づき、特別養護老人ホームへの入所や、短期入所の措置をしています。
介護保険制度をはじめ、老人福祉法上の制度により対応に努めており、今後増大するニーズに対しても、まずは現行制度の中で対応することが基本と考えています。
介護保険制度の枠外で施設を整備し運営するとなると、制度全体の枠組みを崩しかねず、また単独でサービス事業をまかなうとなれば市の大きな財政負担となることから、制度の枠外での対応は現実的でないと考えます。
杉浦:
毎年、企業立地促進や活性化の助成金が予算計上され、来年度も約1億4000万円が措置されています。経済効果と雇用増と言われますが、費用対効果はどのように評価されているのでしょうか。
私たち日本共産党はこの間、大企業優遇以外の何者でもないこのような助成金に反対してきました。全国各地で、企業誘致の優遇合戦をして、補助金の大盤振る舞いのうえ、工場への道路敷設などの出費をし、企業は儲けるだけ儲けて撤退をする…ということが起きています。
液晶パネル「亀山モデル」で有名になったシャープ亀山工場がその例です。04年に操業開始、昨年生産設備を中国企業に売却して基幹ラインがなくなり、海外消費地での地産地消を理由にした事実上の撤退は、まちを閑散とさせ、労働者も使い捨てされました。どんなに大企業を応援しても、地域にお金が循環していくことにはつながらず、やめるべきです。
地域経済を安定させるためには、「大企業さえ呼び込めば、そのおこぼれで地域が栄える」という破綻した古いやり方と決別し、その地域に現にある力を育て、伸ばし、それによって雇用と消費を増やし、さらに力をつける振興策――内発型・循環型の地域振興策に転換することが必要です。
1)住宅改修等助成制度(住宅リフォーム制度)の拡充について
杉浦:
住宅改修等助成制度がスタートして3年目となる来年度は、予算が倍増されて800万円余の予算が計上されています。地域経済の活性化の起爆剤となることを期待します。
市内中小零細事業者には、建築関連事業者が多く、「仕事がなくて生活できない」「下請け仕事が減っている」「仕事をしても単価たたきや不払いがある」と深刻な事態が続いています。
そんな中、これまで改修したくても手が出なかったところを「補助が出るならきれいにしてもらおう」という市民も多く、また設備の改善、バリアフリーや耐震、断熱などの要求が高まっていることからも、昨年は申請の受付期間1ヶ月で予算を使い切る結果となりました。
たとえば、部屋を増築して壁紙を新調するとカーテンや照明器具も新しくしたい、綺麗にするなら「ついでに…」という意識が働いて、商品の購買連鎖が起こります。電気、板金、水道、左官、塗装、工具店や電器店、さらにはお祝い事の仕出し屋・飲食店など、仕事は広がり、住宅リフォームによる関連業種は300にも及ぶと言われます。大津市でも、昨年は400万円の投資で、工事総額は約1億1000万円余となりました。
小さな投資が大きなお金の循環を生み、地域経済への波及が大きいこの制度を、大いに活用してもらえるよう市民・事業者への周知をおこない、通年使えるようにして市民の要望に応えることを求めます。
村田産業観光部長:
これまでと同様、「広報おおつ」および大津市ホームページへの案内の掲載、各支所に募集案内を備え付けるとともに、今回はさらに報道機関への広報資料の提供をはじめ、大津商工会議所の会報や商工会などの窓口にも募集案内を備え付け、多くの市民・事業者に活用していただくようにしていきます。
この制度を通年使えるようにという提案ですが、この事業は緊急経済対策として実施するもので、早い時期に工事着手、敢行していただくため、年度当初に一定の期間を設けて実施したいと考えています。なお申し込み状況などにより予算の額に達しなかった場合は、2次募集も検討していきます。
2)雇用拡大について
杉浦:
今日の不安定雇用や大量の失業者を生み出した背景には、労働者派遣の規制緩和が大本にあります。労働者派遣法の抜本改正や規制強化、ルールの確立を早急におこなうことは言うまでもありませんが、自治体として可能な限り地域での雇用の創出に力を入れることが地域経済の活性化にもつながります。
正規社員を増やした市内の中小企業に支援をおこなうことや、特に若い世代、新卒者・新卒未就職者の就職につながるセミナーや面接会を事業者と協力して開催するなど、地域の雇用を促進するための施策に力をいれる必要があると考えますが、見解をうかがいます。
産業観光部長:
直接的な雇用に対する支援事業などは、国が主体的に実施するものと考えています。したがって、市単独の支援はいまのところ考えていません。
しかし、制度の普及、啓発に関しては、市が労働局などと連携して、随時取り組んでいます。
また地域の雇用を促進する施策として、昨年10月、「学生就職面接会in大津」および就職活動セミナーを開催し、多くの企業、学生など求職者に参加いただきました。23年度も引き続き実施していきたいと考えています。